生きものたちの夏
2002年8月9日
新宿門を入って左側に広がる母と子の森。
都会に暮らす子供たちが身近な自然にふれあえる場として、1985年に御苑の西側に作られました。
武蔵野の雑木林を思わせるこの森には、木々が茂り、かつてはどこにでもあったセミやトンボ、カエルやメダカなどが生育しています。
夜の森にはなにがいる?
母と子の森で年間を通して開催される自然教室。前回の「夜の森の探検」では、生きものたちの夜の暮らしを観察しました。
神秘的なセミの羽化に、夜咲く花々などなど。ちいさな森の中にはたくさんのドラマがあります。
ちょうど膝小僧くらいの高さの木々や葉に、セミの抜け殻が見つかりました。
両手でしっかり葉に抱きついて、風に揺られるセミの抜け殻。
羽化では上半身を殻から出した後、腹筋をしながら下半身を出し、自分の殻の上にしっかりつかまってから羽を乾かします。
風のない夜ならまだしも、ススキの葉の上ではかなりの集中力のいる羽化になったに違いありません。
生まれ来る命。還り行く命。
池のそばでは、命途絶えたミミズをアリたちが葬っています。
ひと夏の静かな終わり。
つる性のヤブカラシには、ちいさな虫がたくさん集まっています。
夏のお花見。恋の駆け引きも本格化しはじめました。
草むらを歩けば、ぴょん、ぴょん、ぴょんっと、飛び出すのはショウリョウバッタ。
まるで葉の色をとって塗ったような鮮やかな緑色の体です。 お盆の8月16日に送り火をたいて死者の霊を送る「精霊送り」の時期に現れることが名前の由来です。
オスは飛ぶときに羽を打ってキチキチという音を出すことからキチキチバッタ、メスは後ろ足をつかむと体を上下に揺り動かして旗を追っているようにみえることからハタオリバッタの別名があります。
都会の森に暮らす生きものたちの暮らし。
動物も植物もバランスをとりながらそれぞれの命を生きています。

生きものたちにはそれぞれ暮らす場所があります。御苑で暮らす大切な生きものを持って帰らないで下さい。