ちいさな芽吹き
2002年6月28日
久しぶりに青空がのぞいた梅雨晴れの園内。どこかしっとりした空気が肌にあたたかく触れます。
潤いに満ちた木々や草花。軽やかな露を受けた葉がきらきらと輝きはじめました。
森林浴を楽しみながら歩いていると、新宿門の園路そばに小さなイチョウの赤ちゃんを見つけました。
ぴーんとまっすぐに伸びた幹に、ちっちゃな二葉がついています。
大人2人で輪を作れそうな大きな母さんと、小指よりも細い赤ちゃんの木ですが、葉の形はいっしょ。おなじみのあのイチョウの葉っぱです。
イチョウは中国原産の樹木で、室町時代に日本に渡来したといわれています。
扇形の葉が鴨の足に似ていることに由来する中国名「鴨脚(ヤーチャオ)」が変化してイチョウとなりました。
また、小さな果実の内側の皮を白色の銀に例えた「銀杏(ギンアン)」がギンナンの名前の由来です。
足元に落ちた小さな実。うすい青味がかった銀色です。イチョウは雌と雄が存在する雌雄異株で、この実がなるのはお母さんの木です。
ロマンチックな並木道でおなじみの神宮外苑のイチョウ並木は、1910年に新宿御苑の苗木を植えたものといわれています。
イチョウはほかに類をみない1属1種からなる裸子植物。
その歴史は古く、イチョウ目は約2億年前の中生代ジュラ紀にもっとも栄え、その後減少し約3000年前の新生代第3紀にはこのイチョウのみになりました。
仏教伝来とともに日本に渡って来たといわれていますが、発根性が非常に高く、かなり太い枝でも挿し木が可能であることから、布教僧が寺院建立の旅の間に使っていたイチョウの生枝の杖を突き立てたものが根付いたとの説もあります。また、第二次大戦後一面焼け野原となった東京で一番はじめに芽吹いた木がイチョウであるといわれています。
コルク質の厚い樹皮と発根性、萌芽力がこの木の持つ強い生命力の秘密。
足元一面に広がったちっちゃな赤ちゃんイチョウ。お母さんを高く見上げながら、大きく伸びてゆきます。